いま、海の世界では水産資源が枯渇(こかつ)していることが大きな問題になっています。
近年の日本食ブームやアジア圏(けん)の経済成長にともなって、世界中で貝や魚などの海産物の需要が急増しています。体に良くて美味しい魚が多くの人々に食べられていることはとても喜ばしいことではあるのですが、当然その資源量(=海産物の量)は無限ではありません。
魚をたくさんとろうとして、より効率的な方法を使うほどに、必要以上に魚をとりすぎてしまう「乱獲(らんかく)」や、本来とるべきではない魚をとってしまう「混獲(こんかく)」といった問題が発生します。
たとえば「巻き網(まきあみ)」を使用したマグロ漁などは、大きな網でまとめて魚をとれるため大変効率的な漁法です。しかし、特定の魚を選んで捕まえることはできないため、これから子どもを産むような「産卵親魚(さんらんしんぎょ)」やこれから大きくなる子どもの魚の「未成魚(みせいぎょ)」といった魚もまとめて捕まえてしまいます。これらの魚たちはそのまま海で暮らしていれば新しい命を増やしてくれる(資源量を増加させる)はずだったのに、その前に漁獲されてしまうことで結果として海の資源の全体量を減らすことになってしまうのです。
もちろん、特定の漁法がすべて悪いというわけではありません。上の例で話した巻き網漁であっても、きちんとしたルールのもとで正しく行えばより多くの人々に食糧(しょくりょう)を供給できる価値のある漁法になります。
このような世界的な問題に対して、私たちひとりひとりがいまからでもできることがあります。
それは「資源量が安定した魚を、なるべくきれいに食べる」ことです。日本は世界でも有数の魚食文化を持っている一方で、日本人の多くは魚をきれいに食べることに苦手意識を持っていると言われています。実際、焼き魚などを提供している飲食店の方々は、まだ食べられるところがあるのに捨てなければならないことが多く、とても残念に思っているといいます。私たちひとりひとりが正しい食べ方を学んできれいに食べられるようになることが、この問題を少しでも解決することにつながるのです。
「魚をきれいに食べるコツ」についてはこの動画をみてみてください。勉強になりますよ!