高度経済成長期以降、日本の経済は急速に発展して私たちの生活は豊かになりました。同時に私たちはより安心で楽しい生活を送るため自然に手を加えるようになり、そうした行動が海や川の生き物たちにマイナスの影響をあたえるようになっていきました。
たとえば、大雨になった際に川が氾濫することを回避(かいひ)するために川辺を整備してコンクリートで固める「護岸工事(ごがんこうじ)」を行うと、本来ぐにゃぐにゃと曲がった川がまっすぐに整備され、それまでに比べて水の流れが速く単調になり、その川で暮らせる生き物の種類が減ってしまいます。沖縄などの地域では、こうした河川の工事がサンゴを死滅させてしまう「赤土(あかつち)」の流出を加速させていると言われています。
また、港を作る「港湾工事(こうわんこうじ)」によって、砂浜がなくなってしまういわゆる「海岸浸食(かいがんしんしょく)」が発生します。四方を海に囲まれ、長い海岸線を持つ日本でも約13%もの海岸がこの15年間に消失してしまっていると言われています。
私たちの生活様式が多様化したことで、真夜中でも明るい地域も増えていますね。こうした光による影響は特に海の近くではとても大きいと言われています。
砂浜で生まれたウミガメは元々月明りをたよりに海を目指しますが、沿岸部に人工の光が増えたことで海に変えることができずに車にひかれて死んでしまうようなウミガメも多くなったというのです。さきほどの砂浜の消失もありますから、こうしたウミガメなどの生き物は特に大きな被害(ひがい)を受けていると言えるでしょう…。
「月明りをたよりに海にかえる」という何ともロマンチックなウミガメたちの姿を守るためにも、私たちひとりひとりが自然と私たち人間の共存について考えていかなければならないのです。