ウミガメの不調の原因は、海にただようプラスチックを食べてしまったことでした。実は、これまでにも世界中の海でプラスチックを誤飲(ごいん)してしまったウミガメがみつかっています。
実際に、死んでしまったウミガメの死体を解剖(かいぼう)すると、その内臓からはたくさんのプラスチックがみつかるといいます。
※100以上のプラスチック片が見つかった子ガメ
ウミガメがプラスチックを食べてしまう原因としては、レジ袋が好物のクラゲに似ているから、プラスチック片に食べ物のにおいが付着しているから、海面近くで長い時間を過ごすためエサが少ない子ガメが手当たり次第に口にしてしまうから…などいくつかの説がありますが、いずれにしても人工物をエサとかんちがいして食べてしまうというウミガメが一定数いるということはまぎれもない事実です。
プラスチックの誤飲が直接的な死因になるケースは多くありませんが、大きなレジ袋が胃腸をふさいでしまって食事や排泄(はいせつ)ができなくなることで餓死(がし)してしまうこともあるのではないかと言われています。実際に、レジ袋を内臓に取りこんだオサガメが死んだ状態でみつかったこともあります。
こうした被害(ひがい)にあっているのはウミガメだけではありません。たくさんの海の生き物たちが人間が出したプラスチックごみの影響(えいきょう)を受けているのです。
こうした問題を少しでも減らすためには、私たちひとりひとりが意識して「ごみを減らす」ことや「正しく捨てる」ことが重要になっています。日本でもレジ袋が有料になったり、たくさんの飲食店で紙ストローが導入されたりしたことは記憶(きおく)に新しいですが、こうした小さな努力の積み重ねが結果的に海のプラスチックを減らすことにつながるのです。
あまり知られていませんが、実は海の世界のごみはその7割~8割ほどが私たちの暮らす町(陸地)から流れ出たものだと言われています。
そして、一度海に流れ出てしまったプラスチックごみは紙などとちがってなかなか分解されません。
5年程度で分解される紙に対して、たとえばレジ袋は20年、ペットボトルであればなんと450年ものあいだ、海をただよい続けることになるのです!
そして海をただようあいだに風や紫外線でボロボロにくずれて「マイクロプラスチック」になってしまうこともあります。
こうした問題を改善するためにも、町に住む私たちがごみを捨てない、落ちているごみは拾うなど、小さな努力を積み重ねていく必要があるのです。
出典:おたる水族館ホームページ
米・CNNウェブニュース