ウミガメを捕(つか)まえていた漁具の網。これは誰かがウミガメを捕まえようと思って設置したものではありませんでした。これは持ち主不在で海をただよう「ゴーストネット」と呼ばれるものです。
ゴーストネットとは、漁業者などが使う網が何らかの理由で海に流出してしまったもののことで、
波や風の影響(えいきょう)で船から落ちてしまったものや、外国の密猟者(みつりょうしゃ)が故意に捨てたもの、また岩礁(がんしょう)に引っかかってしまったものなどがあります。
その原因は多様ですが、実は年間60万トンをこえる網が海に流れ出てしまっていると言われており、その網にからまってしまった生き物の報告は、わかっているものだけでも3万件をこえています。
1960年代以降、漁業でも丈夫(じょうぶ)な「プラスチック製」の網が使われるようになってからこの問題は加速しました。それまでの網と異なり、プラスチックでできた網は自然界でなかなか分解されないからです。こうした網は、半永久的に海をただよう中で知らずに入りこんだ生き物にからまり、かれらが動けないまま餓死(がし)するまで放さないのです。
中にはまだ小さいときに網にかかってしまったせいで甲羅(こうら)の形が変形してしまったようなウミガメもみつかっています。
しかしながらこうした問題を解決するため、からまってしまった生き物たちが自力で脱出(だっしゅつ)できるような最新鋭(さいしんえい)の漁具なども開発されており、漁業者の人々もこの問題に真剣(しんけん)に取り組んでいるといえるでしょう。
私たちも、海の世界の現実を正しく理解して、自分たちにはどんなことができそうかを考えることが大事なことなのです。
出典:「Ocean Positive」ホームページ
NGO「オセアナ」ホームページ